誰が言ったか知らないが、インテリアデザインなど志す学生は、必ず読んでおけ、と
言われてきた本です。
σ(^^)もデザイン学生の時に読みました。
奥へ行くほど薄暗い、昔の日本の家の造りに、日本人の美意識があらわれてますよ、
あの薄暗さがあるから、きんきらきんの金屏風も、本来変な色の味噌汁も(笑)、
美しく見えてくるんですよ~
というような、どこか日本人なら気づいていたけれど、そう言われりゃそうだわな的な、
とても美しい文章なのですよ。いや本当に。
どうにも、このところの日本は明るすぎました。
家の中には決して暗闇ができないように、ひたすら蛍光灯を輝かせ、
また、長野の田んぼのただ中に、目も開けられないぐらいの光を放つ夜のコンビニ。
集まる自分たちは、さしずめ夏の虫なのか?って。
以前、ヨーロッパを旅した時の驚きを思い出します。
どの家にもホテルにも、部屋の天井の真ん中に電灯がない!
あちこちに小さな照明はあるんだけれど、全部点けても、暗くてしょうがない。
夜になると、部屋で日記を付けるのもひと苦労でした。
でも、そのうちあきらめました。
夜なんだから、暗くてあたりまえなんだ。物書きなんてしなくていいんだ、って。
夜はほの暗い部屋で、くつろぐもの。
そう思ったら、夜の過ごし方が変わりました。
ムリヤリ明るくして、昼間の延長戦にして、書き物なんかせず、
ゆっくりお酒でも飲んで過ごせばいいんだ、って。
そのためには、部屋のあちこちに暗闇の出来る程度の照明がちょうどいいんです。
ムードは違いますが、このところの節電で半分ぐらい照明を落としたお店が、
目にも優しく、意外にも居心地がいいことを発見しちゃったわけです。
節電というと、こんなご時世だから我慢しなきゃ、がんばれニッポン!的な、
どこか悲しげな様相が漂いがちですが、そればっかりじゃありません。
ちょっと暗くなったことで、今まで見えなかった部屋の「陰」があらわれてきたんです。
陰はズバリ、ムードなんですから、楽しまなくっちゃ損ですよ。
せっかくの機会、ととらえて、皆さんも部屋の電気をいつもより余分に消してみませんか?
節電だから、じゃなく、陰を味わうために。
こんな時だからこそ、いつもと違う暗さも楽しんで。
ちょっと暗めのお部屋で、「陰影礼賛」もぜひ読んでみて下さいね。
これだけで、○万KWはいけそう…。